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美容室という名の戦場

最近美容室へ行った.

別に行きたかったわけではないが,3ヶ月も髪を切らないと,完全に前髪が視界を遮り,生活に支障をきたしてきたし,別にロン毛の趣味はないため,意を決して美容室を予約した.

ここで一昔まえであれば予約の手段は電話だったのだろうが,現代のIT革命によって人類はホットペッパービューティーという救世主に到達していた.

ご存じない旧人類に説明をしておくと,ホットペッパービューティーとは日本中数多ある美容室をネットを通して,一言も発さずに予約ができるコミュ障と声帯に優しいシステムである.

このシンギュラリティによって予約のハードルが大幅に下がったため,ぼくのような半分引きこもりのようなやつでも美容室という陽のサンクチュアリに足を踏み入れることが可能になったと言ってもなんら過言ではない.

ちなみにここまでホットペッパービューティーをベタ褒めしているが,宣伝したところでぼくには一銭もはいってこない.

ここでぼくが4年間の大学生活で教えたいこととしては,よほどのことがない限り同じ美容室で同じ美容師さんを指名するのがおすすめだということである.

理由は後述する.

そして予約当日,時間より早く着きすぎるのは小心者の常であるので,そのまま美容室の周りを3週して体を温めておく.

そしてまあ5分前くらいになったら突入していく.

案内されて,椅子に座らせられる.

この時,雑誌が3冊ほど前方に配置されるが,メンズノンノやファッジなんかの異世界の読み物は触ると手に蕁麻疹ができてしまうので,よほどの強者出ない限りは絶対に手を付けてはならない.

そして大概飲み物を聞かれる.

ぼくはカフェイン中毒なので,コーヒーを選ぶわけだが,これは砂糖入りますか?の1ステップが多くなるため,美容室初心者にはおすすめできない.

ぼくは2年経ってようやく

「あ...結構です.」

を習得している.

そして美容師さんが来る.

ここが一番の難関と思う人も多いのではないだろうか.

髪型のオーダーである.

ただここは何度も同じ美容師に切ってもらっているが故の必殺技を使うことで0kcalで突破することができる.

「前回と同じ感じでお願いします!」

これでいいのである.これが同じ美容師さんに切ってもらう最大にして唯一のメリットである.正直これは北斗神拳よろしく一子相伝の極意として限られたものにのみ教え伝えていこうときめていたのだが,出血大サービスである.使っていいよ.

(無論初めてのときや,金髪にしたいときはその旨をちゃんと伝えてください.前の美容師さんがどうしても合わなかったらちゃんと変えてください.)

そしてカットがスタート.

美容師さんは当たり障りのない天気の話から切り込んでくる.
昨日,突然の雨に打たれて大変だったらしい.

前日,しっかりと引きこもっていたぼくは雨なんて降ったっけ?と思い,いきなり変な空気にしてしまいそうだったが,

そういえば布団を干してたら,雨が降ってきて急いでしまったことを思い出した.

そのまま話しても良かったのだが,多少色をつけたほうが良いだろうと思ったのか,雨に気づかずに,布団がびちゃびちゃになってしまい,床で寝たことにした.

こうもすぐ嘘が自分の口から出ることに両親への申し訳無さを一瞬感じたが,会話がまあまあ盛り上がったのでこれは許してほしい.

途中,燻製にハマっている話や,美容師さんが女なのにドライヤーが3分で済む話をした.正直女性の髪を乾かすスピードの相場はリサーチ不足だったため,きっと

「ああ...?,あ!早い...ですね!」

みたいな変な反応をしたような気がする都合の悪い記憶は消えるので何も覚えていない.

そうこうしているうちに,あらかた切っていただいていて,だいぶさっぱりした.見た感じもいい.

そして美容師さんが一言.

「どうですか?,触ってみてください」

と言われる.

ぼくはおもむろに髪を触って思う.

「ワカンネエ」

何もわからない.

触って何がわかるのだろう.

ぼくの脳内で思考はめぐる.

まず考えられるのは純粋に毛量がどうかの確認である.これは素直に感想を述べれば満点だろう.

もう一つはぼくを試しているという説である.美容師さんが故意にハサミを3ミリだけ浅く入れ,美容界での黄金比とされる長さから3ミリずらしたところでぼくに問いかけるならば,この場合は字面通りに問いを受け取ってはならない.

髪をかきあげながら,口元に微笑を湛えて呟く必要がある.

「う〜ん,もうちょっとだけ短くてもいいかなあ・・・」

これが満点答案だろう.

迷いなくぼくは丁度いいです.と言った.

シャンプーをしてもらい,いよいよ終りが見えてきた頃,最後の難所が待ち構える.

「前髪もうちょっとだけ切りますか?」

これはどういう意図だろうか.

この瞬間,高校の英語の先生が,質問の形式をよく確認して回答せよと言っていたことを思い出した.

先の問とは違いこちらを前髪カットへ明らかに誘導している質問形式である.

これも2つの場合に分かれるであろう.

一つは,額面通り美容師さん的にもうちょっといきたいけどどうよ?という純粋な提案.

もう一つは,提案に見せかけた試験である場合.

もう丁度いい長さの前髪の状態でこの問をすることで,ぼくの美的感覚を試しているのではないか?その場合,提案に乗ってしまったら最後,出禁待ったなしである.

ぼくは「んじゃもうちょっとお願いします」と言った.

こうして今回も無事に髪を切ることができた.

美容師さんいつもありがとうございます.好きです.

次回はスタイリング剤つけますか?の心理戦の模様をお伝えできればと思います.

参考になったら,幸いです.

では〜